INTRODUCTION

イントロダクション

リチャード・リンクレイター監督が12年の構想期間を経て描く、“50才のスタンド・バイ・ミー”悲劇がもたらした旅が再び人生を輝かせる。感動のロードムービーが誕生

かつてベトナム戦争に従軍し、痛みを分かち合った気の置けない仲間たち。30年前に起きた事件をきっかけに大きく人生が変わった三人。すっかり酸いも甘いも噛み分けた大人となり、それぞれの道を歩む旧友にして悪友の三人組は、仲間に起きた悲劇をきっかけに、海の向こうでイラク戦争が行われている時代に30年ぶりの再会を果たし、親友の息子の遺体を連れ帰る旅に出る――。
ふたつの戦争で刻まれた喪失感。しかし心の殻を一枚ずつ剥いでくれる仲間との旅が、30年前の“ある事件”によって傷つけられた心を再生させ、再び人生が輝き出す姿が描かれる。
『6才のボクが、大人になるまで。』で世界中の賞を席巻した名匠、リチャード・リンクレイター監督が贈る感動のロードムービーが誕生した。

監督のリチャード・リンクレイターは、2005年に刊行された原作小説を読んで以来、この企画を12年間も温め続けていた。原作者のダリル・ポニックサンは、アメリカン・ニューシネマの傑作『さらば冬のかもめ』(73年)の原作小説でも知られるベテラン作家。
今回の脚本はリンクレイターとポニックサンが共同で手掛け、過去と現在の戦争の苦しみに向き合いつつ、ユーモアに満ちた仲間との交流の旅が、空っぽの心を埋めていく温かい友情の物語を作り上げた。
キャストには主人公の三人組と作品の魅力を伝える最高の布陣がそろった。穏やかな家庭人として成熟しながらも、妻と息子、大切な家族を相次いで失ったドク役に、『フォックスキャッチャー』(14)で第87回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたスティーヴ・カレル。ワイルドで冗談好きの明るいバー経営者ながら、一方で荒んだ酒びたりの日々を送るサル役に、『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(15)で第88回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたブライアン・クランストン。敬虔な神父として聖職者の任を務めつつ、実は荒くれで向こう見ずだった青春時代の過去を持つミューラー役に、『TINA ティナ』(93)で第66回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたローレンス・フィッシュバーン。いずれもオスカー候補や数々の受賞歴を持つ名優たちが集まった。

クランクイン前、LAで三週間に渡ってリハーサルが行われた

30年振りの再会にも関わらず、一瞬で昔の関係を取り戻した三人は旅の間ずっと語らい続ける。この三人のキャラクターのやり取りや関係性の中で、昔からの友人だという親密な感覚をリアルに醸し出すことができれば、きっと観客も映像の中の出来事を真実だと信じてくれるだろう。そう考えたリンクレイター監督は、撮影前にロサンゼルスに出演者たちを集め3週間に渡ってリハーサルを敢行した。この期間は、出演者たちが互いのことを深く知り、現実の関係でも絆を作るプロセスとして大きな役割を果たした。
3週間に渡って名匠と名優たちが机を囲んで脚本の本読みをした日々を、「みんなとの時間はとても楽しかった」とスティーヴ・カレルは嬉しそうに述懐する。ブライアン・クランストンはこう語る。「リンクレイター監督は出演者たちをどこまでも信頼し、自由にさせてくれた。そうして僕らは自分の不安や願望、キャラクターの目標について率直に意見を言い合ったんだ。」
このリハーサル期間中、リンクレイター監督は役者たちのコミュニケーションから生まれてくるものを柔軟に反映させながら、脚本を何度も書き直した。築き上げられた三人のリアルな絆は、完成した映画からも本当によく伝わってくる。

エンドロールを飾る、ボブ・ディランの歌声 乾いた心に優しい涙が染み渡る

心にポッカリ穴が空いたとき、主人公のドクが求めたのは配慮のある優しさではなく、時としてマナーを無視してまでも率直に踏み込んでくれる本物の友情だった。社会的な地位や肩書きなどに縛られない、若い頃の友人。悪ガキに戻ったオヤジたちは、時にくだらないジョーク連発の馬鹿話に興じながら、棺を車や列車に乗せ、初めての携帯電話なども購入し、アメリカ東部を渡っていく。この映画では『ビフォア』シリーズや『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』(16)など他のリンクレイター監督作品と同じく、回想形式は一切使われない。ひたすら現在進行形で物語は進んでいく。いっとき辛い現実から離れて旧い友人との時間を過ごすことで、人生の再生や回復のきっかけへと向かう彼らの姿は、“孤独”が広がり、誰もが他人に言えない虚しさや痛み、悲しみを抱え込んで生きているこの日本においても、国の違いを超えて共感を呼び、気取らない優しさで心を解放してくれるだろう。
エンディングに流れるボブ・ディランの名曲「Not Dark Yet」が余韻を一層深めている。

STORY

ストーリー

妻に先立たれたドクは、
戦死した息子を連れ帰る旅に
30年間音信不通だった友を誘った。
語り合い、時に笑い合いながら続く
古い友との旅で、
3人の人生が再び動き出す

男一人、酒浸りになりながらバーを営むサル(ブライアン・クランストン)と、破天荒だったミューラー(ローレンス・フィッシュバーン)の元に、30年間音信不通だった旧友のドク(スティーヴ・カレル)が突然現れる。
2人にドクは、1年前に妻に先立たれたこと、そして2日前に遠い地で息子が戦死したことを2人に打ち明け、亡くなった息子を故郷に連れ帰る旅への同行を依頼する。
バージニア州ノーフォークから出発した彼らの旅は、時にテロリストに間違われるなどのトラブルに見舞われながら、故郷のポーツマスへと向かう――。
30年前に起きた悲しい出来事をきっかけに出た再会の旅。語り合い、笑い合って悩みを打ち明ける旅路で、3人の人生が再び輝き出す。

STORY

ストーリー

スティーブ・カレル(ラリー・”ドク”・シェパード)

1962年、マサチューセッツ州コンコード生まれ。
コメディ・セントラル放送のエミー賞受賞シリーズ「ザ・デイリー・ショー」(96~)の特派員役で、最初に注目を集めた。そののち、エミー賞候補となったNBC放送のコメディシリーズ「ザ・オフィス」(05~13)で製紙会社の横柄なマネージャー、マイケル・スコットを8年間演じて人気を博した。この演技でゴールデングローブ賞TVミュージカル/コメディシリーズ部門最優秀男優賞を受賞。
世界中でセンセーションを巻き起こした『40歳の童貞男』(05)で初めて長編映画の主人公を演じた。この作品では監督のジャド・アパトーとともに脚本も書き、二人は全米脚本家組合(WGA)賞の最優秀オリジナル脚本賞にノミネートされた。
ベネット・ミラー監督の『フォックスキャッチャー』(14)で、米アカデミー賞とゴールデングローブ賞の最優秀主演男優賞にノミネート。
『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(15)では実在のヘッジファンド・マネージャーのマーク・バウムを演じ、ゴールデングローブ賞にノミネート。ほかの出演作に『俺たちニュースキャスター』(04・未)と続編『俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク』(13・未)、『ゲット スマート』(08)、『ラブ・アゲイン』(11)、『エンド・オブ・ザ・ワールド』(12)、『31年目の夫婦げんか』(12)、『俺たちスーパーマジシャン』(13・未)、『プールサイド・デイズ』(13・未)、『アレクサンダーの、ヒドクて、ヒサンで、サイテー、サイアクな日』(14・未)、『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』(15)、『カフェ・ソサエティ』(16)など。
2017年秋には、エマ・ストーンと共演する『Battle of the Sexes』が全米公開された。待機作には『Beautiful Boy』などがある。
アニメ『怪盗グルーの月泥棒3D』(10)では主人公グルーの声を担当。世界中でスマッシュヒットを記録し、続編『怪盗グルーのミニオン危機一発』(13)と『怪盗グルーのミニオン大脱走』(17)でもグルーの声を担当。
また女優で妻のナンシー・カレルとともにTBS放送のポリスコメディシリーズ「Angie Tribeca」(16~)のクリエイターを務めた。自身は製作総指揮/脚本/監督も担当。現在は妻とともにロサンゼルス在住。一男一女の自慢のパパである。

ブライアン・クランストン(サル・ニーロン)

1956年、カリフォルニア州ハリウッド生まれ。
警察官になることを志していたが、短大在学中に俳優志望に転向し、舞台で俳優デビュー。
AMC放送のTVシリーズ「ブレイキング・バッド」(08~13)のウォルター・ホワイトの演技で、エミー賞4回、SAG賞4回、ゴールデングローブ賞1回を受賞。ケーブルTVシリーズで初めて、そしてすべてのTVシリーズで二番目に、3年連続してエミー賞を受賞した俳優となった。プロデューサーとしてもこのシリーズで、エミー賞最優秀ドラマシリーズ賞2回、全米製作者組合(PGA)賞最優秀ドラマシリーズ賞を1回受賞している。また「ブレイキング・バッド」の3エピソードとABC放送シリーズ「モダン・ファミリー」の2エピソードを監督し、2013年と2014年に全米監督協会(DGA)賞にノミネートされた。
映画では、ジェイ・ローチ監督の『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(15)で実在の伝説的な脚本家、ダルトン・トランボを演じて絶賛され、米アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、SAG賞、英アカデミー(BAFTA)賞、放送映画批評家協会賞の最優秀主演男優賞にノミネートされた。
舞台では「All the Way」でジョンソン大統領を演じ、2014年のトニー賞を受賞。その舞台劇を映画化したTV映画「オール・ザ・ウェイ JFKを継いだ男」(16)では、自身の製作会社ムーンショット・エンターテイメントを通して製作も担当。この作品はエミー賞8部門にノミネート。また、彼自身はこの演技でゴールデングローブ賞候補となり、SAG賞TV映画・ミニシリーズ部門最優秀男優賞を受賞した。
ほかの出演作に『すべてをあなたに』(96)、『プライベート・ライアン』(98)、『リトル・ミス・サンシャイン』(06)、『リンカーン弁護士』(11)、『幸せの教室』(11)、『コンテイジョン』(11)、『ドライヴ』(11)、『トータル・リコール』(12)、『アルゴ』(12)、『GODZILLA ゴジラ』(14)、『潜入者』(15)、『パワーレンジャー』(17)などがある。また、ドリームワークス・アニメーションのアニメ『マダガスカル3』(12)や『カンフー・パンダ3』(16・未)で声の出演をしている。

ローレンス・フィッシュバーン(リチャード・ミューラー牧師)

1961年、ジョージア州オーガスタ生まれ。ニューヨークにて育つ。
10歳の時にTVシリーズ「One Life to Live」(68~13)に出演し、18歳で『地獄の黙示録』(79)に若い兵士タイロン・“クリーン”・ミラー役で出演。
以来、舞台・映画・TVで多彩な演技を披露し、多くの賞を受賞してきた。「Two Trains Running」(92)でトニー賞を受賞。TVシリーズ「Tribeca」のエピソード「The Box」(93)の演技でエミー賞を受賞。また、『TINA ティナ』(93)で演じた実在のミュージシャン、アイク・ターナーの演技で米アカデミー賞最優秀男優賞にノミネートされた。1997年には、製作総指揮も兼ねたTV映画「ミス・エバーズ・ボーイズ~黒人看護婦の苦悩」の演技でエミー賞にノミネートされ、全米黒人地位向上協会(NAACP)イメージ・アワードを受賞。NAACPイメージ・アワードには18回ノミネートされ、ABC放送シリーズ「Black-ish」(14~)での演技を含め5回受賞している。
最もよく知られているのは、ウォシャウスキー姉妹監督の大ヒット作『マトリックス』三部作(99~03)で演じたモーフィアス役だろう。ほかの出演作に『カラーパープル』(85)、『キング・オブ・ニューヨーク』(90)、『ボーイズ’ン・ザ・フッド』(91)、『ディープ・カバー』(92)、『ボビー・フィッシャーを探して』(93)、『ハイヤー・ラーニング』(95)、『ミスティック・リバー』(03)、近作には、大ヒット作『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(16)、『パッセンジャー』(16)など。A&E放送のTV映画「ROOTS/ルーツ」(16)ではエミー賞最優秀ナレーター賞にノミネート。またBET放送のミニシリーズ「Madiba」(17)では、ネルソン・マンデラを演じている。
2000年に、長年のマネージャーであり製作パートナーでもあるヘレン・サグランドとともに自身の会社シネマ・ジプシー・プロダクションズを設立した。
1996年より、ユニセフ大使としても活動している。2007年、アメリカおよび世界における舞台芸術への優れた貢献と人道的貢献を称えられ、ハーバード大学より“アーティスト・オブ・ザ・イヤー”を授与された。

J・クィントン・ジョンソン(ワシントン)

テキサス大学の演劇プログラムに出演しているところをリチャード・リンクレイター監督に見出され、『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』(16)でプロの俳優としてデビューした。次に、ABC放送が『ダーティ・ダンシング』(87)をリメイクしたミュージカル「Dirty Dancing」(17)にサラ・ハイランドが恋心を抱くマルコ役として出演。AMC放送シリーズ「The Son」(17~)ではネプチューン役で何度も出演し、ピアース・ブロスナンと共演している。
2017年にはブロードウェイのスマッシュヒットミュージカル「Hamilton」にも出演した。

STORY

ストーリー

リチャード・リンクレイター(監督/脚本)

1960年、テキサス州ヒューストン生まれ。
サム・ヒューストン州立大学で学んだあと、100人のキャラクターの24時間を中心に展開する実験的な作品『Slacker』(91)を監督して注目される。青春映画の名作『バッド・チューニング』(93)、ベルリン映画祭銀熊賞最優秀監督賞を受賞した『恋人までの距離(ディスタンス)』(95)、米アカデミー賞最優秀脚色賞にノミネートされた『ビフォア・サンセット』(04)、そして英アカデミー(BAFTA)賞やゴールデングローブ賞Ⓡの最優秀作品賞を受賞し、パトリシア・アークエットが米アカデミー賞最優秀助演女優賞を獲得した『6歳のボクが、大人になるまで』(14)といった優れた作品を生み出してきた。
また、西部劇ギャング映画『ニュートン・ボーイズ』(98)、アニメ『ウェイキング・ライフ』(01)、リアルタイムドラマ『テープ』(01)、ヒットコメディ『スクール・オブ・ロック』(03)、そして『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』(16)など、インディペンデントとハリウッドメジャーを往来しながら様々なジャンルの映画に挑戦している。
ほかの監督作に『がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン』(05)、『スキャナー・ダークリー』『ファーストフード・ネイション』(共に06)、ドキュメンタリー『Inning by Inning: A Portrait of a Coach』(08)、『僕と彼女とオーソン・ウェルズ』(08・未)、『バーニー/みんなが愛した殺人者』(11)、『ビフォア・ミッドナイト』(13)などがある。TVでは、旅行シリーズ「Up to Speed」(12)のクリエイターと監督を務め、前述『スクール・オブ・ロック』のTVシリーズ「School of Rock」(16~)の製作総指揮を担当している。
世界中の映画を観てもらうために、1985年に自身が創立したオースティン・フィルム・ソサエティー(AFS)の芸術監督を務めている。現在、アメリカでトップの映画団体の一つとなったAFSは、年間数百本の映画を上映し、教育プログラムを運営し、1996年より、テキサスのフィルムメイカーたちに150万ドル以上の補助金を交付している。

ダリル・ポニックサン(脚本/原作)

1938年、ペンシルベニア州の無煙炭鉱山の町シェナンドー生まれ。
著名な小説家であり、映画/TVの脚本家でもある。本作の原作「Last Flag Flying」など、自身の名前で9冊の小説を出版し、ペンネームのアン・アーギュラの名前で4冊の本を出している。
コーネル大学で修士号を取得後、ニューヨーク北部にある高校で3年間英語の教師をしていた。その後、米海軍に入隊し、揚陸隊の一員として多くの時間を海で過ごした。海軍を除隊したのち、初めての小説「The Last Detail」(70)を出版。これはハル・アシュビー監督、ジャック・ニコルソン主演によって『さらば冬のかもめ』(73)として映画化された。
脚本家としては、『シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛』(73)、『タップス』(81)、『ビジョン・クエスト/青春の賭け』(85)、『ナッツ』(87)、『THE BOOST/引き裂かれた愛』(88)、『青春の輝き』(92)、『ランダム・ハーツ』(99)などの映画作品や、TV映画「The Girl Called Hatter Fox」(77)や「The Enemy Within」(94)、TVシリーズ「The Mississippi」(82~84)といった作品を担当している。
前述『シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛』で全米黒人地位向上協会(NAACP)イメージ・アワードを受賞。また、アン・アーギュラとして書いた小説「Homicide My Own」ではエドガー賞にノミネートされた。
2度目の妻シー・シー・ラモスとの間に、子供が二人と孫が二人いる。カリフォルニア州ソノマとパームスプリングスを行き来して活動している。

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